高校無償化はいつから?2025・2026年度の改正ポイントと支援内容を解説
2025.11.18
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子どもの高校進学を前に、「学費はどれくらいかかるのか」「経済的に大丈夫だろうか」と不安を感じる家庭も多いでしょう。
その負担を軽減するために設けられたのが、国の「高校無償化制度(高等学校等就学支援金制度)」です。
高校無償化制度は2025年・2026年度に大きな改正が行われます。
公立高校は、2025年度(令和7年4月)からは対象が拡大して上限額「年11万8,800円」が所得制限なしで全世帯に支給されます。
また、2026年度(令和8年4月)からは私立高校についても所得上限が撤廃され上限額「45万7,000円」が支給される予定となっています。
本記事では、高校無償化の概要や対象世帯、支援内容、申請の注意点をわかりやすく解説します。
高校無償化制度とは?

高校の学費に不安を感じるご家庭にとって、国が実施する「高校無償化制度」は知っておきたい制度のひとつです。
ここではまず、高校無償化制度の正式名称や目的、対象世帯について概要を紹介します。
正式名称「高等学校等就学支援金制度」について
高校無償化制度は、国が実施している「高等学校等就学支援金制度」の通称です。
高校にかかる授業料を国が支援し、家庭の負担を軽減することを目的としています。
この制度は、公立・私立・通信制を問わず幅広い学校に適用され、誰もが安心して高校教育を受けられる環境を整えるための柱となっています。
制度の目的(教育機会の平等・学費負担の軽減)
この制度の大きな目的は「教育の機会均等」と「家庭の教育費負担の軽減」です。
経済的な理由で進学を諦めることがないように、すべての子どもが安心して高校教育を受けられる環境を整えることを狙いとしています。
授業料にあたる部分を国が負担することで、「実質無償化」を実現しています。
従来の政策とこれから
これまでの高校無償化制度(高等学校等就学支援金制度)は、年収約910万円未満の世帯を対象に授業料を支援する仕組みでした。
そのため、一定以上の所得がある家庭では制度の恩恵を受けられないという課題がありました。
しかし2025年度からは所得制限の一部が撤廃され、基準額部分については全世帯が対象となります。
(私立高校向けの加算支援については、年収に応じた支援額の差が引き続き設けられます。)
支援金は学校が代理で受け取り、授業料に直接充てられるため、家庭が立て替える必要もなく、実質的に学費負担が軽減されます。
2026年度からは私立高校の支給上限額が引き上げられ、私立と公立の間で生じていた授業料負担の差がさらに縮小する見通しです。
無償化はいつから?2025・2026年度の改正ポイント

高校無償化制度は、2025年度から段階的に所得制限の撤廃と支援額の拡充が進められます。
それぞれの年度における変更点を、公立・私立・通信制の3つの区分に分けて解説します。
2025年度:公立・私立への支援を拡大(基準額11万8,800円・所得制限なし)
これまで年収約910万円未満の世帯が対象だった制度が、2025年度からは年収に関係なくすべての世帯に拡大されます。
新たに「高校生等臨時支援金」が設けられ、基準額として年額11万8,800円が所得制限なしで支給されます。
公立高校の授業料(年額11万8,800円)はこの支援で全額が賄われ、実質的に無償化となります。
一方で、私立高校では授業料水準に応じて支援上限額が学校ごとに設定されており、基準額を上回る支援が行われる場合もあります。
支援金は学校が代理で受け取り、授業料に直接充当される仕組みのため、家庭が立て替える必要はありません。
2026年度:所得制限を撤廃し、私立高校の加算支援を拡充(上限45万7,000円)
2026年度からは、私立高校への支援がさらに拡充されます。
従来は、年収約590万円未満の世帯を対象に年額39万6,000円を上限として支援していました。
改正後は、所得制限が撤廃され、上限額が全国平均授業料水準の45万7,000円に引き上げられる予定です。
公立高校よりも金額が大きい理由としては、私立高校の授業料金の平均が40~50万円前後と高いため、公立高校との差を知事める目的で上記の金額が設定されています。
ただし、授業料が全国平均を超える学校の場合は差額分が自己負担となるため、事前確認が必要です。
通信制高校の扱い
通信制高校も高校無償化制度の対象です。
ただし、授業料と履修(単位)形態が全日制・定時制と異なるため、支給上限額は学校ごとに設定されています。
- 公立通信制高校:2025年度から、基準額である年額14万4,360円が所得制限なしで支援されます。
- 私立通信制高校:現行制度では、年額33万7,000円を上限に支援が継続されています。
通信制高校では、学費が単位制で履修する科目数やスクーリング回数によって異なるため、支給される就学支援金が上限額に達しない場合もあります。
現時点では通信制高校に対する所得制限撤廃などの拡充は発表されていませんが、今後の制度改正によって経済的支援が広がれば、より安心して進路を選びやすくなると考えられます。
高校無償化の対象と支給額

高校無償化制度では、公立・私立・通信制など幅広い学校が対象となっており、それぞれの特性に応じて支援額が設定されています。
2025年度からは、基準額(年額11万8,800円)が所得制限なしで全世帯に支給され、公立高校は実質的に無償化されます。
一方で、私立高校の加算支援や自治体独自の補助では、世帯収入や授業料水準に応じた差が設けられています。
また、国の制度に加え、自治体ごとに独自の支援制度も実施されています。
対象となる学校の種類(公立・私立・通信制など)
高校無償化制度の対象は多岐にわたり、次の学校が含まれます。
- 高等学校(全日制・定時制・通信制)
- 中等教育学校(後期課程)
- 特別支援学校の高等部
- 高等専門学校(1~3年次)
- 専修学校高等課程
- 一部の専修学校一般課程・各種学校(国家資格養成課程や告示指定を受けた外国人学校など)
通信制高校も制度の対象であり、学習スタイルに関わらず支援を受けられます。
特に私立の通信制高校では、年額33万7,000円を上限とした支援が設定されています。
支給額の詳細と違い
学校の種類や世帯収入によって、次のように支援額が異なります。
- 公立高校:年額11万8,800円(所得制限なし) → 実質授業料は全額無償化
- 私立高校:
・年収約590万円未満 → 年額39万6,000円支給
・年収約590万~910万円未満 → 年額11万8,800円支給
・2026年度からは、所得制限が撤廃され、上限額45万7,000円を支給予定
- 私立通信制高校:年額33万7,000円を上限に支給(所得制限あり)
自治体独自の支援制度
国の制度に加え、各自治体でも独自の支援が整備されています。
これらは国の支援を補う形で実施されており、地域によって支給条件や上限額が異なります。2024年度時点の情報をもとにした代表的な例は以下の通りです。
- 東京都:「私立高等学校等授業料軽減助成金事業」 → 所得制限撤廃、私立高校授業料を最大48万4,000円まで支援
- 大阪府:「私立高等学校等授業料支援補助金制度」 → 段階的に所得制限を撤廃予定
- 神奈川県:「私立高等学校等学費補助金」 → 入学金+授業料を対象、年間7万2,000円~34万9,200円を補助
- 兵庫県:「授業料軽減補助制度」と「入学資金貸与制度」 → 授業料補助+入学時の資金をサポート
このように、国の支援に加えて自治体独自の補助も利用できるため、実際の負担額は地域によってさらに軽減される場合があります。
高校無償化制度の注意点|授業料以外は対象外

高校無償化制度を利用する際には、「授業料以外の費用」や「制度の対象外条件」があるため注意が必要です。
制度名から「高校にかかる費用がすべて無料」と誤解されがちですが、実際には自己負担が生じるケースもあります。
ここでは、利用前に知っておきたい注意点を整理します。
無償化でも自己負担がゼロとは限らない
高校無償化の対象はあくまで「授業料」のみです。
制服代・教材費・通学費・修学旅行費・部活動費などは自己負担となります。
特に私立高校では施設費やタブレット代などが加わり、数十万円単位の負担になることもあります。
通信制高校の場合は、スクーリング費用や、通学する際のサポート校費用が別途かかるため、進学前に総費用を確認しておくことが重要です。
所得制限による影響
公立高校では2025年度(令和7年度)から、私立高校では2026年度(令和8年度)から、就学支援金の所得制限が撤廃されます。
2025年度の所得制限と支援金
| 学校区分 |
年収590万円未満 |
年収590万~910万円未満 | 年収910万円以上 |
|---|---|---|---|
| 公立高校 | 年額11万8,800円 | 年額11万8,800円 | 年額11万8,800円 |
| 私立高校 | 年額39万6,000円 | 年額11万8,800円 |
支援なし |
2026年度の所得制限と支援金
- 公立高校:年額11万8,800円(全世帯一律)
- 私立高校:年額45万7,000円(全世帯一律)
共働き世帯では世帯合算所得で判定されるため制限にかかりやすく、また離婚・再婚など家庭の状況によって判定が複雑になる場合もあります。
支給額が減る・対象外となるケース
高校無償化制度において、次のような場合は、支給が減額または対象外となります。
- すでに高校を卒業・修了した者
- 在学期間が3年(定時制・通信制は4年)を超えた場合
- 専攻科・別科・科目履修生・聴講生
- 通信制高校の「サポート校」単独の費用(制度対象外)
- 私立高校の授業料が支給上限を超える場合 → 超過分は家庭負担
また、所得の判定は年度当初の収入に基づくため、途中で収入状況が変化しても基本的には反映されません。
申請漏れや手続きの注意点
制度を利用するには毎年の申請が必要です。以下の点に注意してください。
- 在校生:毎年7月頃に収入状況の届出が必要(未提出だと以降の支給がストップ)
- 新入生:申請が遅れると、申請月以降しか支給されない → 4月申請を逃すと損失大
- よくある失敗例:マイナンバー関連書類の不備、親権者の署名漏れ、提出期限遅れ
また、入学時の授業料は一時的に自己負担となるため、あらかじめ資金を準備しておくことが大切です。
高校無償化はいつから?変更点と注意点|まとめ
高校無償化制度(高等学校等就学支援金制度)は、2025年度から全世帯を対象に基準額11万8,800円が支給され、公立高校は実質的に無償化されます。
さらに、2026年度からは私立高校の支給上限額が引き上げられ、より公平な教育環境の実現が進められます。
ただし、制服代・教材費・修学旅行費など授業料以外の費用は対象外です。
支援を確実に受けるためには、最新の制度内容を確認し、早めに申請・準備を進めておくことが大切です。
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