高校の単位とは?いくつ落とすと卒業できないのか単位制度について解説
2025.07.25
高校では単位が取得できないと留年と聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
実際、高校の単位とはどのようなものなのでしょうか?
また、落とすと卒業できないというのは本当なのか、単位制度について詳しくご紹介していきます!
学校に通えない日が続き、進級や卒業ができるか心配になっている生徒さんや保護者の方にも向けて、不登校でも卒業を目指せる単位制高校について解説します。
高校卒業に必要な単位とは?基本をわかりやすく解説
高校を卒業するためには、決められた数の「単位」を取得する必要がありますが、高校の単位の仕組みを理解している方は少ないかと思います。
まずは、全日制・定時制・通信制の単位について、それぞれの特徴や違いを詳しく解説していきます。
単位とは何か?なぜ必要なのか
高校の単位とは、各教科・科目の学習量を数値化したもので、1単位は週1時間の授業を1年間受けることを基準としています。
例えば、週4時間の授業がある数学は年間4単位となります。
単位制度が必要な理由は、生徒が必要な学習をきちんと履修したかを客観的に評価するためです。
高校では様々な教科を学びますが、それぞれの学習量を単位として数値化することで、卒業に必要な学習が達成されているかを明確に判断できるようになっています。
また、単位制度により、転校や編入の際にも既に修得した単位を引き継ぐことが可能となっています。
▼全日制・定時制・通信制それぞれの単位の特徴 ・全日制高校:毎日通学し、1日5〜7時間の授業を受けることで単位を修得。3年間で卒業が基本。 ・定時制高校:主に夜間や特定の時間帯に授業を実施。1日の授業時間が短いため、4年間での卒業が一般的。 ・通信制高校:レポートと登校日の組み合わせで単位を修得。自分のペースで学習を進められる。 |
高校を卒業するには何単位必要?全日制の基準を紹介
高校を卒業するために必要な単位数は、全日制・定時制・通信制を問わず74単位以上と定められています。
これは文部科学省が定める高等学校学習指導要領に基づく全国共通の基準であり、どの高校でも最低限この単位数を満たす必要があります。
多くの全日制高校では、実際には90単位から100単位程度を卒業要件としています。
必要な単位数よりも多い理由としては、幅広い教養を身につけてもらうため、また大学受験に必要な科目を十分に学習するためです。
高校の単位は、必修科目と選択科目に分かれており、必修科目だけでも約30単位から40単位を占めています。
全日制高校では、時間割に沿って毎日登校し、決められた授業を受けることで着実に単位を修得していきます。
出席日数や定期テストの成績などが単位認定の条件となるため、規則正しい学校生活を送ることが重要です。
単位を落とすと高校卒業できない?仕組みと注意点
高校生活において、単位を落とすことは進級や卒業に大きな影響を与える可能性があります。
ここでは、単位を落とすとはどういうことなのか、その影響について詳しく説明します。
単位を落とすとは?
高校で単位を落とすとは、その科目の年間単位認定基準を満たせなかった状態を指します。
単位認定の基準は主に2つあります。
1つ目は出席日数で、年間授業時数の3分の2以上の出席が必要です。
欠席が3分の1を超えると、たとえ成績が良くても単位不認定となります。
2つ目は成績評価で、定期テスト、提出物、授業態度などを総合的に評価し、5段階評価で「2」以上の評定が必要となります。
評定が「1」となった場合は単位不認定となります。
落とした単位の影響は?進級・卒業との関係
単位を落とすことによる影響は、その高校が学年制か単位制かによって大きく異なります。
学年制の高校では、1つでも単位を落とすと原則として進級できず、同じ学年をもう一度やり直す「留年」となります。
一方、単位制の高校では、落とした単位があっても他の単位を修得していれば進級に影響しない場合があります。
ただし、卒業するためには最終的に74単位以上を取得する必要があるため、落とした単位の分だけ他の科目で補う必要があります。
救済措置や再履修はあるのか
多くの高校では、単位を落としそうな生徒に対して様々な救済措置を用意しています。
例えば、出席日数が不足している場合は補習授業への参加、成績不振の場合は追試験や課題提出などにより、単位認定の機会を与えることがあります。
また、単位制高校では落とした科目を翌年度に再履修することも可能で、一度失敗しても再チャレンジの機会が与えられます。
高校の制度で単位の扱いが変わる?学年制と単位制の違い
高校には大きく分けて「学年制」と「単位制」という2つの制度があり、それぞれで単位の扱い方が異なります。
単位を落とした場合の対応も制度によって大きく変わるため、ここからは両制度の特徴と違いについて詳しく解説します。
学年制高校とは?進級・卒業の基本ルール
学年制高校は、1年生から3年生まで学年ごとに履修科目が決められている従来型の高校制度です。
各学年で定められたすべての科目の単位を修得することで次の学年に進級でき、3年間で必要な単位をすべて取得すると卒業できます。
学年制の特徴は、同じ学年の生徒が同じカリキュラムで学ぶことです。
これにより、クラスメイトとの一体感が生まれやすく、学校行事なども学年単位で行われることが多くなります。
しかし、1つでも単位を落とすと留年となり、すでに取得した他の科目の単位も含めてすべてやり直しになるというデメリットがあります。
単位制高校とは?単位ごとに学べる柔軟な制度
単位制高校は、学年の区分がなく、取得した単位の累積で卒業を認定する制度です。
必修科目以外は自分で履修科目を選択でき、興味のある分野を深く学んだり、自分のペースで学習を進めたりすることもできます。
多くの通信制高校がこの制度を採用しています。
単位制の最大の特徴は、留年という概念がないことで、仮にある科目の単位を落としてもその科目だけを再履修すれば卒業条件を満たすことができます。
これにより、体調不良や不登校などで一時的に学習が困難になっても、柔軟に対応できるというメリットがあります。
通信制高校も単位制の一種?違いと特徴を紹介
通信制高校は、単位制を採用しているという特徴があります。
これは、通信制高校が多様な生徒のニーズに対応するため、柔軟な学習スタイルを提供する必要があるからです。
通信制高校では、レポート提出、スクーリング(面接指導)、テストの3つを組み合わせて単位を修得します。
登校日数も年間20日程度と少なく、自宅学習が中心となるため、自分のペースで無理なく高校の単位を修得できるのが特徴です。
不登校経験がある人には単位制高校がおすすめ
不登校を経験している生徒にとって、高校選びは非常に重要な決断です。
通学や出席に不安があるという方は「単位制高校」を選ぶのがおすすめです。
ここでは、なぜ単位制高校が不登校経験者におすすめなのか、その理由を詳しく説明します。
留年がない=再スタートが切りやすい
学年制高校では、長期欠席により単位を落とすと留年となり、同じ学年をやり直すことになります。
これは精神的にも大きな負担となり、学校復帰をさらに困難にする要因となります。
一方、単位制高校では留年という概念がないため、一時的に学校に通えなくなっても、復帰後は自分のペースで単位を修得していけます。
過去の出席日数にとらわれることなく、新たな気持ちで再スタートを切れるのは、不登校経験者にとって大きなメリットです。
単位制高校へは転入も可能
全日制高校から通信制高校への転入も可能で、現在の学校で単位取得が難しいと感じている生徒は、既に取得した単位を活かしながら通信制高校(単位制)で残りの単位を修得することができます。
転入時期も柔軟で、多くの通信制高校では随時転入を受け入れているため、タイミングを逃すことなく学習を継続できます。
自分のペースで学べる=精神的な負担が少ない
単位制高校では、履修する科目数や登校日数を自分で調整できるため、無理なく学習を継続できます。
体調や精神状態に波がある場合でも、調子の良い時期に集中的に学習し、不調の時期は最小限の活動に留めるなど、柔軟な対応が可能です。
また、単位制では同じ科目を複数年かけて履修することも可能です。
例えば、数学が苦手な生徒は、1年で4単位取るところを2年で2単位ずつ取るなど、理解度に合わせた学習計画を立てられます。
現在全日制高校に在籍していて「このままでは単位が取れない」と悩んでいる生徒も、通信制高校へ転入することで、自分に合った方法で高校卒業を目指すことができます。
転入前に取得した単位はそのまま引き継ぐことができるため、これまでの努力が無駄になることもありません。
通信制高校という選択肢〜学び直しをサポートする環境〜
高校の単位を落とすことに不安を感じている方にとって、通信制高校はおすすめの選択肢となります。
ここでは、通信制高校の具体的な特徴とサポート体制について紹介します。
通信制高校の学習スタイルとサポート体制
通信制高校では、レポート学習を中心に、自分のペースで高校の単位を修得していきます。
わからないところは、オンラインや電話、メールなどで質問でき、個別指導を受けることも可能です。
また、多くの通信制高校では、学習支援システムやeラーニングを導入しており、いつでもどこでも学習できる環境が整っています。
サポート体制も充実しており、学習面だけでなく精神面のケアも重視されており、面談やカウンセリング、進路相談など状況に応じたきめ細かいサポートが受けられます。
不登校経験者にも合いやすい3つの理由
通信制高校が不登校経験者に適している理由は、主に3つあります。
1つ目は、登校日数が少ないことです。
年間20日程度のスクーリングで済むため、人間関係のストレスを最小限に抑えられます。
2つ目は、多様な生徒が在籍していることです。
不登校経験者だけでなく、働きながら学ぶ人、スポーツや芸能活動と両立する人など、様々な背景を持つ生徒がいるため、自分だけが特別ではないという安心感があります。
3つ目は、個別対応が基本となっていることで、集団行動が苦手な生徒でも無理なく学習を続けられます。
単位取得のハードルを下げる仕組みとは
通信制高校では、単位取得のハードルを下げる様々な工夫がされています。
例えば、レポートは段階的に難易度が上がるよう設計されていますし、再提出制度があり、一度不合格になっても修正して再チャレンジできます。
テストについても、範囲を細分化した小テスト形式を採用している学校が多く、一度に大量の内容を暗記する必要がありません。
さらに、補習やサポート授業も充実しており、理解が不十分な部分は個別にフォローを受けられるため、確実に単位を修得していけます。
まとめ|高校の単位制度を理解して卒業を目指そう
高校の単位とは、生徒の学習量を数値化したもので、卒業するために必要不可欠な要素です。
通常、卒業までは74単位以上が必要ですが、全日制高校では90~100単位を卒業要件としている場合があり、単位を落とすことで留年してしまうことがあります。
一方、単位制高校では、単位を落としても留年することなく、在校期間中に規定の単位数を取得すれば卒業することができ、個々のペースで学習を進めることが可能です。
通信制高校では、単位取得のタイミングを自分で調整できるため、全日制高校で単位を落としてしまった場合や学校に通えなくなった場合でも、通信制高校に転入することで、取得した単位を保持しながら不足した単位を修得し、高校卒業を目指すことができます。
高校卒業において、単位は重要な要素の一つです。
自身の環境や学習スタイルに合った高校を選ぶことが、卒業への近道となるでしょう。
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