技能連携校とサポート校の違いとは?学費や特徴について徹底解説
2025.08.22
通信制高校を検討していると、「技能連携校」や「サポート校」という言葉に出会うことがあるかと思います。
いずれも通信制高校での学習を支援し、高校卒業や将来の基盤づくりをサポートする教育形態ですが、目的や学費、学べる内容には明確な違いがあります。
この記事では、それぞれの特徴を分かりやすく解説し、学費やメリット・デメリットを比較しながら、自分に合った選択肢を見つける手がかりを紹介します。
進路に悩む中高生や保護者の皆さんにとって、参考になる内容となれば幸いです。
技能連携校とは?
技能連携校とは、技能連携制度を利用して専門分野を学びながら、通信制高校で高校卒業資格を取得できる学校です。
入学するには、通信制高校への入学が必要なため、3年間で2つの学校を卒業するという形になっています。
また、技能連携校で修得した単位は、通信制高校を卒業するために必要な単位の半分まで認められます。
商業や工業、調理や服飾などの専門的な学習を通じて、社会に出て即戦力となる人材育成を目指しながら、高校卒業資格も同時に取得できるのが技能連携校の特徴です。
技能連携校では以下のような多様な分野を学ぶことができます。
- 商業分野(簿記、マーケティング、パソコン実習など)
- 工業分野(機械、電気、建築、情報技術など)
- 調理分野(和食・洋食・中華の調理技術、衛生管理など)
- 服飾・ファッション分野(デザイン、縫製、スタイリングなど)
- 美容・理容分野(カット、メイク、ヘアセットなど)
- 福祉分野(介護技術、福祉用具、実習体験など)
- 芸術・表現分野(音楽、ダンス、演劇、アートなど)
技能連携校のメリット
技能連携校の最大のメリットは、専門的な技術や知識を学びながら、高校卒業資格を同時に取得できることです。
技能連携校での学習は通信制高校の卒業単位として認定されるため、学習負担の軽減につながります。
また、通信制高校で必要とされるスクーリングも、技能連携校で実施される授業の中で代替されるため、別途通信制高校のスクーリングに行く必要もありません。
さらに、高校卒業に加え、専修学校高等課程の修了資格も得られるため、履歴書作成時において有利に働くことがあります。
工業系、商業実務系、調理系、美容系など幅広い分野の専門技術を学べるのも大きな魅力です。
技能連携校のデメリット
技能連携校では専門技術を習得することを目的としているため、全日制と同じ週5日の登校が一般的です。
そのため、自分のペースで勉強ができる通信制高校本来の良さは薄れてしまいます。
また、技能連携校と通信制高校の両方に通う必要があるため、2校分の費用が発生するのもデメリットです。
高等学校学習指導要領に則っているため、専門科目には限界があり、時代を先取りした学科や表現者を目指すようなコースは設けていません。
高度なプログラミング技術の習得や声優などの職業を目指したい学生には向いていない場合があります。
サポート校とは?
サポート校とは、通信制高校に在籍する生徒に対して、学習面や生活面の支援を行う民間の教育機関です。
通常、通学が不要な通信制高校ですが、サポート校では週に数回の通学が必要となります。
サポート校単独では高校卒業資格を取得することができず、通信制高校での学習を円滑に進めるための補完的な役割を担っています。
個別指導や学習相談、キャリアガイダンスに加え、プログラミングやデザイン、イラストなど多彩な分野を広く学べるカリキュラムを用意している校舎もあり、生徒一人ひとりの興味や将来に合わせた学びをサポートする体制が整っています。
サポート校のメリット
サポート校を活用することで、通信制高校での学習をより効果的に進められます。
最大のメリットは、個別指導や少人数制の授業により、分からない部分を中学の範囲まで遡って丁寧に教えてもらえることです。
通学によってレポート学習が進めやすくなり、自学が基本の通信制高校でも学習スケジュールを整えてもらえる点は大きなメリットです。
また、専門のカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが配置されているサポート校では、学習面の相談だけでなく、メンタル面のサポートも受けられます。
サポート校に通うことで同じ境遇の生徒との交流を通じて、コミュニケーション能力の向上も期待できます。
さらに、進路相談や就職活動のサポートまで行っているサポート校もあり、学費に見合った支援が受けられるのもメリットです。
サポート校のデメリット
サポート校のデメリットで最も気をつけたいのは、サポート校だけでは高校卒業資格を取得できないという点です。
卒業には通信制高校への同時入学が必須であり、サポート校への通学日数は通信制高校の卒業要件であるスクーリング日数には含まれません。
また、通信制高校とサポート校の両方に学費が発生します。
サポート校の年間費用として数十万円から数百万円がかかるため、経済的負担も大きいです。
さらに、サポート校によっては集団での学習が基本となるため、大人数での授業や決められた時間での通学が苦手な方にとっては、かえってストレスになる可能性もあります。
技能連携校とサポート校の違いを比較
技能連携校とサポート校は、いずれも通信制高校と並行して通う制度ですが、その仕組みや役割にも違いがあります。
中でも大きな違いは、提供される授業が通信制高校の単位として認定されるかどうかという点です。
学費や授業内容、登校頻度も異なるため、特徴や違いを理解することで、自分に合った進路を選びやすくなります。
以下に学費などの違いを比較表でまとめました。
比較項目 | 技能連携校 | サポート校 |
---|---|---|
学費の目安 | 年間約40万〜100万円 |
年間約30万〜100万円 |
費用に含まれるもの |
専門実習・実技指導・施設利用・教材費など |
授業料・教材費・施設費・サポート費など(校によって異なる) |
学びの特徴 | 専門技術や資格取得に直結する実習が豊富(工業基礎、情報処理、自動車工学など) | 幅広い分野に対応可能 (プログラミング、デザイン、イラストなど) |
単位の扱い | 実習や専門授業が通信制高校の卒業単位として認定される |
業は単位に含まれない (単位取得は通信制高校側で行う) |
法的位置付け | 学校教育法第55条に基づいた教育機関 | 通信制高校と連携するが、法的には学校教育法の対象外(塾・予備校の位置付け) |
登校頻度 | 週3〜5日程度が一般的(全日制高校に近い通学スタイル) | 週1〜5日から選択可能 (柔軟なスケジュール) |
サポート体制 | 専門技術の習得と高校卒業の両立を支援 |
学習支援が主な目的、個別対応や生活・精神面のサポートが充実 |
学習スタイルの自由度 | 比較的固定されたスケジュール |
生徒のペースやライフスタイルに合わせやすい |
学費の違い
技能連携校の学費は、通信制高校への学費に加え、年間でおおよそ40万〜100万円程度とやや高額になります。
また、専門分野によっては必要な機材や道具などで別途費用が必要になることもあります。
技能連携校では、専門的な実習や実技指導を受けながら、高校の単位としても認められるため、費用に見合った実践的な学びが得られます。
一方、サポート校も通信制高校とは別に費用が発生し、年間で30万〜100万円程度が目安です。
サポート校では、学習面や生活面でのサポートが充実しており、個々の進路や学習状況に合わせた支援が受けられるため、こちらも費用に見合った手厚い学びが期待できます。
授業内容と単位の扱い
技能連携校では、学校教育法第55条に基づく技能連携制度により、専門技術を深く学びながら、その専門科目の一部が通信制高校の卒業単位として認められます。
工業基礎や情報処理、自動車工学など、学習指導要領に即した職業に直結する科目が中心となっています。
一方、サポート校は学校教育法に基づいた施設ではなく、予備校や塾のような存在であるため、授業を受けても通信制高校の単位としては認められません。
しかし、各校が自由にコースの特色を持たせることができるため、プログラミングやデザイン、イラストなど多彩な分野を広く学ぶことが可能です。
ここでも技能連携校とサポート校の違いが明確になります。
登校頻度の差
技能連携校とサポート校では、登校頻度の自由度にも大きな違いがあります。
技能連携校では専門技術を習得するために週5日の登校が基本となっており、全日制高校と同様の学習リズムで学びます。
これは、専門技術の習得に必要な実習時間や継続的な学習が重要であるためです。
一方、サポート校では一人ひとりのペースに合わせて週1〜5日まで登校日数を選択できる柔軟性があります。
サポート校は通信制高校を卒業するための学習支援が主な役割であるため、個別のニーズに応じたサポート体制が充実しており、自分のライフスタイルに合わせた学習が可能です。
技能連携校とサポート校、どっちを選ぶべき?
技能連携校とサポート校のどちらを選ぶかは、「将来の目標」と「学習スタイル」の違いによって大きく異なります。
特徴や違いを理解し、自分に合った学び方を基準に選びましょう。
技能連携校はどんな人に向いている?
技能連携校は、高校卒業資格を取得しながら、専門分野の実技や技術を学べる学校です。
実践的なカリキュラムが整っており、効率よくスキルを身につけたい人に適しています。
- 将来は専門職や技術職に就きたいと考えている
- 高校卒業資格と専門スキルを両立して取得したい
- 全日制に近い登校スタイルで生活リズムを整えたい
- 実習・体験を重視したカリキュラムで学びたい
授業内容は実習が中心で、職業現場に近い経験を積めるのが大きな魅力です。
卒業後には、即戦力として活躍できる力を養えるでしょう。
サポート校はどんな人に向いている?
サポート校は、通信制高校での学習をスムーズに進めるために、学習や生活を幅広く支援する機関です。
特に、自学自習に不安がある人や、学校生活に課題を感じている人に適しています。
- 自学自習に不安がある、一人での学習が苦手な人
- 分からないことをすぐに質問できる環境を求めている人
- 不登校の経験や対人関係の悩みがある人
- 学習だけでなく、生活面・精神面の支援も受けたい人
- 安心できる環境で高校卒業を確実に目指したい人
サポート校では、日々の学習フォローに加え、カウンセリングや生活相談といった多方面のサポートが受けられるのが特徴的です。
これにより、サポート校の生徒は学習面だけでなく精神面でも支えられ、無理なく高校卒業を目指せます。
技能連携校とサポート校の違いを比較!|まとめ
技能連携校とサポート校は、いずれも通信制高校と併用する制度ですが、単位認定・学費・登校頻度などに大きな違いがあります。
技能連携校は専門技術を身につけながら効率的に卒業資格を取得でき、将来の就職に直結する実践的な学習が可能です。
一方、サポート校は個別サポートが充実しており、自分のペースで学習を進めたい人に向いています。
どちらを選ぶかは、将来の目標や学び方に応じて慎重に検討することが重要です。
両者の違いを正しく理解し、学費や目的に合った選択をしましょう。
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